事業背景

Business Background

ここ20年の「住まいについての住み心地調査」や「リフォーム動機調査」では、現状の住まいに対する不満の上位には「収納スペースの不足」が常にトップランクの不満ワードとなっていますが、現在に至っても未だ解決されていません。

これには生活者、住宅供給者、収納家具メーカーそれぞれの立場でそれなりの理由がある為だと感じています。

例えば、生活者の場合を考えると住宅の企画・設計段階では資金を始め地形や間取り・採光・水回り機器など優先的に考慮する内容が多く、収納計画への考慮が後回しになったり、自らの収納ニーズが明確でなかったり、妥当な価格でオーダーメイド対応が出来なかったり等々の理由で、結果入居後の「購入品」という位置づけに甘んじざるを得ないケースが多いばかりでなく、その実態は機能や寸法・デザインを満たしてくれる既製品を探し当てる事が出来ず、商品に生活を合わす本末転倒の状況すらあって、入居後の不満に繋がっている様に思えます。

一方、住宅供給者としても、空間設計・構造設計・デザイン設計・予算・法規遵守等々多くの優先的に解決しなければならない内容も多く、ライフスタイルや嗜好を伴う収納家具を設計に組み込む為には、煩雑な作業を伴うと共に、多くは造作やオーダーメイドで対応せざるを得ず、価格や見積・納期などの問題により敬遠されがちで、「収納家具は生活者が選んで購入するもの」として、殆どのケースでは下足やトイレ吊戸棚・クローゼット空間の設置に留まっているように見受けられます。

更に家具メーカーに取ってみても、既製品の寸法別注や機能・デザインの特注対応には設計から製造まで、膨大な時間と労力を費やさねばならないのに加え、提案から修正の繰り返しを、全てアナログ作業(CADやExcel 等)で行わざるを得ないため、極端に高価なものとなるだけで無く、利益すら取れないケースが多くなっているため、消極的であるのが実態です。

結局の所、住み心地を左右する収納計画は、本来「間取り設計」段階で生活者と十分な検討を行うべき項目であるにも関わらず、嗜好性やライフスタイル対応等の煩雑さに対応できる人材・人員も少なく、加えて別注特注やオーダーメイドには膨大な時間と労力が必要となり、実現出来たとしても、そこで提供される商品は、高価で現実的なものにはほど遠く、実際はなかなか欲しいものが見つけられないにも関わらず、「収納家具は生活者が自ら小売店で探しだすもの」と体よく位置づけられてしまっているのが不満の根本的原因だと思います。

即ち、収納の不満を解消するために必要なことは、「収納は、使う人や場面の要求に沿った商品を、買える価格で、自由に作れる」事を当たり前の事として捉え、「設計」や「作り方」、「選び方」や「買い方」も、従来とは全く異なった「新しい考え方」と、それを実現出来る「新しい仕組み」を実現する事だと思います。

ドゥーマンズは、これらの全てのプロセスを抜本的に見直し、「設計・製造」「選択・購買」の仕組みに、ITテクノロジーを駆使した抜本的なイノベーションを起こし、何時でも生活者が要求する商品を、安価で早く提供できる仕組みを実現する事は可能だと考え、挑戦を続けて来ました。

先ずは、設計・製造ではCADを使わず、特別なスキルも必要とせず、自由にプランニングでき、製品図・加工図、CG、見積、部材リスト、木取り等、設計から製造に必要なすべての図面やデータ類の全てを瞬時に「自動生成」するクラウドシステム「darso(ダロス)」を全国の木工場にサブスクリプション方式で安価なライセンスを提供する事で、地域地域に別注特注/オーダー対応可能な工場が存在する事になります。

更に、工場オリジナル家具シリーズを、EC機能付き/サイズ別注機能付きのデジタルカタログ「mm/style(ミリスタイル)」に格納する事で、住宅提供者はこれを使って、間取りの収納スペースに合わせた収納を生活者に提案し、その場で瞬時に図面やCGや見積を提供できて、そのまま発注出来るようになります。

一方、生活者が家作りとは無関係に、個別で収納を必要とする場合には、生活者自らが好みの収納を簡単にプランニングして価格を確認出来る携帯アプリ「カグル」を使う事で、自らプランニングしたものを、携帯アプリ上で直接注文することが出来、工場側とはデータ連携していることで、設計部門を不通過で、製造指示と同時に必要な加工データも自動生成され、製造が開始されます。

以上の様に、生活者・住宅供給者・メーカー・家具販売店を、これらのソフトウェアやアプリを媒体として、有機的に連携させるサービス( ※1 )を提供する事で、従来困難であった生活者の要求に沿ったカスタマイズ商品を、圧倒的に安く・早く・大量に提供できる仕組み=デマンドチェーン(※2)が出来上がり、収納家具市場のイノベーションが生まれる事になります。

即ち、従来のサプライチェーン(※3)型「マスプロダクション」に相対する、デマンドチェーン型「マスカスタマイゼーション(※4)」へ転換するプラットフォームが整備された、と言っても過言ではありません。

※1 有機的に連携させるサービス
デマンドチェーンとは、一般消費者のいる流通の川下側から、メーカーが位置する川上側にさかのぼる情報の流れであり、一般消費者の特性を認識し、店舗(無店舗販売の場合は、顧客接点)における販売数量の決定及び効果的な需要の喚起・創造を行う諸活動を指し、バリューチェーン全体を対象として設計すること、である。(JMACより)
※2 デマンドチェーン(Demand chain)
デマンドチェーンとは、一般消費者のいる流通の川下側から、メーカーが位置する川上側にさかのぼる情報の流れであり、一般消費者の特性を認識し、店舗(無店舗販売の場合は、顧客接点)における販売数量の決定及び効果的な需要の喚起・創造を行う諸活動を指し、バリューチェーン全体を対象として設計すること、である。(JMACより)
※3 サプライチェーン(Supply chain)
サプライ・チェーン・マネジメント、供給連鎖管理とは、物流システムをある1つの企業の内部に限定することなく、複数の企業間で統合的な物流システムを構築し、経営の成果を高めるためのマネジメント手法である。なお、この場合の「複数の企業間」とは旧来の親会社・子会社のような企業グループ内での関係に留まらず、対等な企業間で構築される物流システムもサプライ・チェーン・マネジメントと呼ばれる。(Wikipediaより)
※4 マスカスタマイゼーション(Mass customization)
マーケティング、製造業、経営戦略論における用語で、コンピュータを利用した柔軟な製造システムで特注品を製造することを指す。低コストの大量生産プロセスと柔軟なパーソナライゼーションを組み合わせたシステムである。マスカスタマイゼーションは、製造業とサービス業における新たなビジネス競争の舞台である。コストを増大させずに多様なカスタマイズを可能にしている。最低でも、個別にカスタマイズされた製品やサービスを大量生産するが、うまくいけば戦略的優位と経済的価値をもたらす。マスカスタマイゼーションの概念はスタン・デービス (Stan Davis) の Future Perfect に初めて登場し[1]、Tseng and Jiao (2001, p.685)[2]にて「大量生産に近い生産性を保ちつつ、個々の顧客のニーズに合う商品やサービスを生み出すこと」と定義された。(Wikipediaより)